もうひとりのわたし/光冨郁也
ひとりで、
ベランダに腰を下ろし、
F-22米軍戦闘機の、
プラモデルを手にして、
雲のない、
午前の青空を見る。
(わたしの両手が湿っている)
あたたかな風は、
わたしの、
首筋から、
胸に、
手をまわすように、
吹いてくれる。
(あの青空の中に、
F-22のように、
とけこんでしまえたら)
そう思いながら、
足を伸ばし、
そっとふれようとする、
眠りに、
体をまかせて、
眼鏡をはずし、
F-22をつかみながら、
目を閉じていった。
(眠れば、だれの声も気にしなくていい)
ステルス戦闘機の、
ウエポンベイが開き、
ミサイル
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