誰かが降り続ける/ホロウ・シカエルボク
 



都市を横に連ねたような貨物列車が駆け抜けたあとに
鳥のエサほどに分けられた轢死体ひとつ
十六の少女、と夕方のニュースが声をひそめて告げた
そんな歳で絶望なんか本当は出来るはずもないのに


とある田舎の集落では九十を過ぎた爺が
数日行方知れずになった挙句用水路の中で見つかった
迂闊に死んだのか殺されたのか誰にも判らなかった
ボケ始めていた本人にすらおそらく判らなかっただろう
面倒のかからないほうの結論に落ち着いて送られた


またある郊外の高級住宅の中ではマリッジ・ブルーをこじらせた若い母親が
「悪魔が憑いてる」と叫んで新鮮な我が子を調理して食した
「母親
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