おむすび/もっぷ
終着駅までのすべての往路が足し算の暦なのだと
信じきっていたころも確かにあったことを思い出す
アネモネの蕾をみて安堵したように降りはじめる雪がある
ことはまだ知らなかった
降りつつ、積もる雪でしか洗い終えることのできない
足跡、そしてかなえられるはずの/
* * *
パトラッシュ!
と声が聞こえる
それが自分の憧憬と
悟っていながら「誰か」
を探すわたし
言葉の主は 軽い手荷物を持った
三つ編み姿の未だ少女なのだと
覚えるように
じつは彼女の鞄のなかには
たくさんの こと が詰まっていた
じつは彼女の髪型は
ざくざくと無造作なおかっぱ頭だった
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