監獄の朝/
ミナト 螢
立入禁止のスイートルームで
締切間近の原稿を書くと
昨日まで普通に見ていた空が
今日は灰色の壁に塗り変わる
バゲットとチーズとワイン片手に
イマジネーションの旅を始めても
憧れの猫脚のバスタブで
寝過ごしてしまった午前四時
こんなに広い天井の下で
マッチ棒のような私はこのまま
倒れて火を出し火傷する程
創作意欲に溢れているのに
何ひとつ言葉を残せずにいる
貧しい心を見透かすような
私の頭にシャンデリアは邪魔だ
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