平々凡々 一歩ずつ/世江
 





眠れないわけではない
ただ眠らないだけなのだ
そんなこと 知っている




そんなことを知らないだけ




これはやまい?




保険点数稼ごうとする医者よりもタチが悪いと思しき
その頭を叩き直すなんてもう無理だろうと誰かは言った
あいつの中に生き続けるやまいが消えない限り
いやあいつ自身がそのやまいに気付かない限り
このループは切れることなく廻る

何て羨ましいことだろう
羨望の眼差しとはまさにこのこと
そうだいつだってあいつはそんなことに気付かない

世の人を見下し
自分様を可愛いと褒め讃える
素敵な能力をお持ちであるのに



憐れみと少しの同情が交じって溶ける


そんなこと あいつは 気付かない

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