都会の空は狭いってよく聞くけど、案外そうでもなかった。/少年(しょーや)
 
のガードマン。
監視していた歩道の信号が赤になるかならないかの瀬戸際で自転車が突っ切ってきた。
幸い、それに交差する車は一台も飛び出してこなかったが(これも暗黙の了解か?)
それを見た高齢ガードマン「おい!!自転車!!!!お前信号見えんのかボケが!!!!」
と、そこまで言うかと思うほどのヤクザまがいの言葉遣いで怒鳴った。
自転車に乗った兄ちゃんは軽く会釈をして、そのまま去っていった。

会場に着いた頃には辺りはすっかり暗くなっていた。
それにしてもでっかいなぁーと、タワーを見上げたと同時に星空が飛び込んできた。
街灯やネオンライトのそれらとは明らかにかけ離れたかすかな光、しかしながら確かな存在を示し続ける光を放ち遥か上空で瞬いていた。


都会の空は狭いってよく聞くけど、案外そうでもなかった。
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