続・銀の雨/kaz.
だったのか。問いが、失われた記憶を浮き彫りにするが、骨格はなく、意味を与えようとする行為には、喪の作業という、新しい名前を立ち上げることも、ままならない。破り捨ててしまおう。くしゃくしゃにして。夢の描かれた紙片(ゴミ)を収めた、円筒状の金属製容器(くずかご)の表象の、名はどこにも存在しないばかりか、視界を覆う不純物として現れ、それをも片付ける身体の部分(掌)、その名を、どこかへ捨てていく。何も残らない。何も残らないということさえも。
山火事は辺りをすっかり焼いてしまった。炭になったところに、わずかにまだ光っているのは、猿の瞳(または、星たちと呼ぼう)。何と形容したらいいのか、私にはわからない
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