yield/ホロウ・シカエルボク
居なくなった未来へと届くだろう
ほっぽり出された記憶がからっ風に吹かれて転がって
煤けた地面の上でポエトリーリーディングのような摩擦音を立てるとき
俺は本当の話し相手を見つけるだろう
そうして目を開くと
カーテンの隙間から潜り込む
どこかの街灯の明かりすら目を焼くほどに痛い
すべての感覚を取り戻して顔を洗い
その時俺はどんなことを考えるのかと思う
それは始まりだろうか
それとも終わりだろうか
眼下に横たわった
間抜けな服を着た自分の死骸を見つめて
絶対的なさよならの清々しさを
どんなふうにして伝えようとするだろうか
死体は
誰の目にも止まらない野っ原へ放り出してくれ
腐り、溶け、食われ、洗われ
あばら骨が天空になにかをねだり始めるその時が来るまで
俺は眺めている、身じろぎもせずに
白骨は欲望の枯れ木だ
寝床とラップトップをどこかへ押しやって
綴ったことのないうたが隠れている物置を覗いてみよう
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