彼女らが帰ってくるのは2週間後だ/天野茂典
れだ
わかさを一枚脱いでゆくのだ
窓の外は雪である
瀬戸内海はもう近い
なごり雪
彼女らは脱皮する
このバスの中で
新人類の仲間入りをするのだ
その脱皮は誰にも見せられない
親にもだ
通過儀礼というものがる
いままさにその瞬間なのだ
ヴォーボワールはいった
おんなは雌としてうまれるのだ
そうして女になるのだと
かの女らは女になるのだ
そのためにふたりはバスに乗り込んだ
無重力状態が必要なのだ
バスは特急である
半端なスピードではない
雪の中をモウレツに
女になるのだ
そうして海に着き
かに座へと旅立ってゆく
彼女らが帰ってくるのは2週間後だ
そうしてぼくとデイトするのだ
旧年よりずっときれいになった
君たちと ぼくは
2005・02・25
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