シェルター/
ミナト 螢
数え切れない灰色の砂は
風が吹けば海辺を飛び回り
誰かの靴の中で昼寝をして
寝像の悪い奴は逃げて行く
海で泳ぐ人で賑わう夏は
どこかで砂の悲鳴が聞こえる
人に踏まれて泣き喚く声や
雨に打たれて動けない体は
砂時計の中に思いを馳せる
人も居なければ雨も降らない
静かで平和な世界の中に
僕等も連れて行って下さいと
海辺の砂達は憧れている
だが人間の手がそれを落とした時
シェルターは壊れ砂達はまた
危険な海の匂いを嗅ぐのだ
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