透明赤シート/kaz.
 
赤の世界。
掌、日焼けの少ない白い太股は、車の赤ランプを浴びている。黄色い布は暖かそうな、かつ目を閉じたくなるような眩しいオレンジに変わった。だが、青いトランクスだけは毒々しい紫に包まれて、すっかり萎えた。己の細い腕さえ、不気味に赤く光り、その緻密な配列の体毛と調和し、生気さえ感じない。
眼鏡と赤いシートの向こうに見える、あの娘の白い肌も、まるでこちらに来るなと言わんばかりの赤信号で、チカチカとして警戒心の塊で、僕は怖い。代弁するかのように木々は真夏の風で揺れ、見上げれば黒の葉、煉瓦の色の枝、ピンクの空、そして赤の雲。血の海に浸ったのだとすれば、あれは誰の血であろうか。
あの時、僕は染まった
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