雨がまといつく/ホロウ・シカエルボク
一日中降りつづく雨が
重い布のような空気となり
肌にまといつく夜中
車が通るたびに悲鳴を上げる水たまり
風が吹くたびに雨粒で鳴るガラス
シャワーを浴びたばかりの身体はすでに汗ばみはじめている
そんな時間のメールの着信音は微かに心を強張らせるのに
開いてみればどこかのショップの下らない販促メール
件名だけ読んでごみ箱におさらば
そして二度と思い出すこともない
これまでにいくつそんな
読むことのない手紙を受け取って来たのか
もしかしたらその中に読むべきものもあったのではないだろうか
だけど
読むべきものは運命のようにやって来る
バーゲンのお知らせみ
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