202号室/縷々流 縷々
 
本当に大切なものだけを
本当に大切にするって
難しいことですね
あなたがそう言った
皮肉でしょうか

本当に大切なものだから
本当に大切にしてよって
あなた本当はそう言いたいのでしょう

朝、あなたはわたしより少し早く起きてカーテンを開ける
その眩しさに負けてわたしは背を向ける
眠るってことは死んでしまうってこと
起きるってことは生まれること
毎日、仮死状態を繰り返し
この部屋から出ることは許されない

本当に大切だと思うから
本当に大切なそれだけを
本当に大切にできなくて
憎まれていつか出て行くかしら
それでもわたし
いつの間にかあなたが居なくなっても
本当に大切なまま
わたしのなかで仮死を続けるわ

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