窓/kaz.
向こうに布をかけて、道を閉ざしてしまうことにした。繊維の隙間から街々の影が覗いている。それが次々に増えていって震え出した頃に、わたしは布を撥ね除ける。布の下から青や赤が駆け抜けていって、部屋全体を染め上げる。それからつめたくなった彼女を見つけて、まど、と呼んだ。
いつも向こうから囁いているのは、やけるような夜景だ。彼女はそこに恥部をさらけ出して言う。物語の作り方を知りたい、と。それなら、とわたしはその背中に滑り込んだ。背中の上で燃えて、わたしは灰になる。ここには誰もいない。誰もいないんだよ。
(引き延ばして欲しい、もっと、影だけでも背伸びして、太陽に裸体を曝して、どこまでも続く背中の中
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