栞/もっぷ
 
もう一度夕空と雁行が見たい
それだ わたしの望みと言えば
もう二度と命を捨てようとしない
それだ あの少女との約束と言えば

いま迷っているのは この長すぎる髪を
切ってもよいものかということ
少女は憧れていたから
つましい願い

髪をブラッシングする度に
鏡のなかに彼女をみつける
わたしは そっとほほ笑む
少女の笑顔が つくられる

今朝、ちょうどこの時わたしは泣いている
なぜだろう 少女にどうか赦してほしいと


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