犯罪によせて、みっつの詩/印あかり
 
若芽をもいだ。青々しい痛みがまぶたを腫らす。

タールのようにぬめりとしたこの影も
洗いながすだろか。初夏のはらわたを破れば
透明な血があふれて、みな しらずしらず濡れてしまう。

罪と罪のうえに制服で立つわたしの
ぬめりとした影も洗ってよ。さらさらと。



近づくほどに口のなかが渇く。
レモンが梢高くに生っている。

わたしの熟した頬は柔らかく、けど味は好くないみたい。
脈うつ毎にほろっと崩れそうになるのに。わたしはレモンを

きゅっと握った。つよくつよく潰れるくらいきゅっと。
悔しいね、美味しそうだね。



なにものからもゆるされない。

ゆるしをこうた、べろのさきに
よくわからない薬をおとされる。甘いとか、苦いとか
かんじるまえにつぎの薬がくる。

檻のないろうやのむこうに、はねのない鳥のせなかに
しろい夢をふとらせている。
それをおおう無数の蟻、嫌で嫌で腕をかきむしるけれど
わたしのこころが確かに、どちらも思い描いたんだ。

かならずどちらも描くんだ。
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