ノー/イシダユーリ
彼女の
圧倒的な
恐れ
恐れは わたしの 頭を 土に めりこませる 彼女の 手 だ
わかれていく前の求めを
抱えて
君がやってくるとき
歯と歯のあいだの隙間を
みせながら
濡れた睫毛を
皮膚にはりつけている
指は傷ついている
でなければ
汚れている
君の足は
土からはえた
裏側を
もつ
それを
わたしは
わからない
君の爪は
それを
はがそうとする
これは
お前由来のもの
この世のすべての怒り
と
君は言うだろうか?
夕方の雨を連れてくる風がふき
求めのはしで
しゃがみこむ
子ども
わたしは
おどりをおどっている
死んだ友達もいると
おどっている
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