四十三音/サダアイカ (aika)
嵐の日には
換気扇からも
外が侵入してくるので
それがひとりきりの夜であれば
尚更雨が風にかきまわされて
音になってすぐ
そばまでせまってきて
寝そべった体は
あっと言う間に船にのって
ひとりきりの船で考えるのは
ありきたりだが陸に居る恋人のことばかりで
心細さの罪をなすりつけてみては後悔をする
この船 丈夫な幌には音の雨だけが降ってくるから
体が濡れて冷えることはないが
どこかしこに雨の音が漏れて
雨音が雨漏りするどこかしこに
たちまち大切な手紙を書くための便せんの
ような内側を音をたてて叩き
じりじりと一つ一つ染み込みだして
台無しにするから
私
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