かろい夏をわらう/
印あかり
シチリア陶器のにおいが
肺にひやりと触れて
食卓に佇むかすみ草は
ほろほろと崩れだす
心を涼しげにもち
からりと笑え。
重たい熱風に転ばされた
ちいさな天使
痛くとも泣くな。
祖父がさいごに見ていた
教会の天井の
指先が結露するような冷たさを
ただ、推し量っていた
去年の夏を
あなたに教えよう。
もうわがままなど言えないように
今年の夏を
軽やかに愛せるように
戻る
編
削
Point
(5)