shima/山人
、がしかし、魂はしなだれ、生を豊かに感じることがない
すべて負という巨大な悪夢に支配されている
それを静かに、決別できるように埋葬しようではありませんか
夕刻、島のはずれの平地に泣きそうな曇り空があった
島民たちは、それぞれにシャベルを持ち、穴を掘り始めた
ぽっかりと開いたその穴に、様々の負を落とし込むよう、念じている
それは石塊となって、橙色に発光しはじめた
熱く、熱し始めたその石に土をかぶせ、ギシギシと踏みつけ、銘々が墓碑銘を打ち立てる
同時に空は雷鳴を轟かせ、激しい雨が降り始めた
しかし、土の中の石は熱く、さらに橙色を強め
やがて闇のような雨の中、激しくそれぞれの墓から炎が上がり始めた
島民は、立ちすくんでいた、重くくすんだものが今燃えている
激しく降る雨は、島民を濡らした
頭の頭皮を雨脚がなぞり、やがて指先や股をとおり、足の袂から落下していく
どれだけの雨にも石は光り、燃え続け、やがて雨はあがった
激しい雨によって、墓はかすかに隆起するのみで、平坦な土に戻っていた
雨が上がったと同時に、海鳥は回遊をはじめ
島民たちは互いの目を見ていた
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