shima/山人
 
といっそう少年の髪は白く目立ち、頸の皮は重力に逆らうことなく垂れていた
瞳は濁り、ぼんやりと遠くを見つめるようであった
風はどこから吹いてくるの
しわがれてはいるが、まだ変声していない幼い声で尋ねる
青年は、少年の視点のそのまた向こうを見つめつぶやくように言った
風はすべてを一掃する、風の根源はあらゆる滞りが蓄積し、次第に熱を帯びてくる
でも、うつむきの中から風は生まれない
なにかをし、言葉にする
そこから気流が発生し、風が生まれる
それが風だ、風は吹くべくして吹いているし、風の命を感ずればいい
そのことばを聞いた時、少年の瞳の奥から一筋のひかりが煌めくのを青年は見た


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