さびしさを剣山で/もっぷ
 
かつてきんいろの風渡る風景を持っていた胸には
いま寂寞としたはいいろのさびしさのみ置かれ
泉のなく息吹のなく色彩もない体温のない
さびしさのみ置かれ

帰りたいのに果たしてふるさとがない私、いつから
ともに居たパトラッシュなどとただのゆめまぼろしを
彼だけが先に行ってしまったのだと思うこともゆるされず

夜空に泣くばかりの日日に
陽光からは偽りばかりが届く
安易なつくりのはりぼての子守唄として
心の扉をまるで剣山で打つように

せめてオルゴールがあったなら
ねじを巻けば純白のバレリーナが踊る

ひとからのなにすらももう身を竦ませるだけの、だけの


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