乱雑/智鶴
べもしない牢獄なら
此処にいるだけ無駄なのに
呼吸も途切れ途切れで
私はなんて可哀想だろう
誰か助けて、此処で許して
誰にも意識を掛けずに居るだけなのに
誘惑の向こうで答えられない咳を聴いた
窓を叩く音がして
恣意の期待を僅かにかけた
何処から来たかなんて
もうずっと昔に忘れてしまった
そんなこと気にしていないでしょう?
空が垂らした一滴に
誰かに縋るばかりの私の言葉は壊されて
結局一人じゃ居ないのと同じ
奇跡なんて無いのと同じ
物語は不透明な瓶に蓋をして
棚の上に飾っておくのが美しいと
気付けばそれだけ傷付いた
少しの泥と炭で幻を見つけて
幸せな夢でも見ていたいと
コルクみたいな空を見上げてぼんやり思った
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