乱雑/智鶴
 
私は苦しい
嘘みたいに何も見えないまま
生きているかも定かじゃないまま
何処に行くかも分からないのに
生意気にも、私は寂しい
薬の味を染みつけて
幻の見える景色を嘘みたいに感じながら
琥珀の華を吐く香りに漂って
一歩でも誰かより振り返れた気分になっていた

黒い錆の生えた瓶を傍らに
誰かより大人になれた気でいた
白い石の転がった灯台は
思い出したように粉々にされて
今はもう昔話みたいに苔生している

夢中で叩く文字は意識を遠く置き去りにして
大丈夫なんて保障は何処にも無いのにね
いつかの異常な意識
狂っていたのはいつだって
私の深い醜い世界だけ
泣き叫べも
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