幻花/葉leaf
人が疲労する以前に
時間は疲弊し尽くしている
触れようとして伸ばした手の指は
じりじりと焼かれていき
その先には花が咲いている
名前もなく特徴もない
あらゆる花を平均して作られたかのような
幻の花がかすかな匂いを発している
空間ももはや瀕死であり
何もかもが緩やかな滅びへと傾斜していく中
幻の花が滅びを吸い上げて
次から次へと花を咲かせていく
この世には何の意味もないのだと
花は示し続ける
この世は今最期を迎えようとしていて
棺を埋める花を必要としている
あらゆる風景は棺の内部であり
幻の花は今まさに
風景を埋めつくそうとしている
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