僕は死に始めた/ホロウ・シカエルボク
僕は死に始めた、見慣れた部屋の中で
僕は死に始めた、変わりない日常の中で
僕は死に始めた、まだ果たせぬ思いのまま
僕は死に始めた、いびつな過去を抱いて
石灰色の目覚めがこめかみを締め付ける
落ちて溶けた絵具のような空気が
沸点の低い液体のように燻っている
弛緩し尽くした肉体に火を入れて
湿気に具現した夢を吸った寝床から立ち上がる
ロック・ミュージックの残響、グラステーブルの水垢の上に
プログラムされたスネアのリズム、鼓膜に微細な穴を空け続ける
あちこち欠落した三半規管が受信する信号は
誰かを殺戮するには申し分のない羅列
窓を開けるころには武器を手に入れ
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