虚ろ/智鶴
 
病で
何処かの洞窟に隠れているのです
溜息が泡になって消えていく
外はこんなにも怖ろしい事ばかり
私はずっと独房で
世界も自分も否定して
甘えてみたいと呟いていただけ

そんな浮ついた夜明け
誰かに大切にされる夢でも見ていたのでしょうか
掌には泥の塊
起き上がれなくなることを
私の澱んだ心は僅かでも望んでいます

此処で崩れていいのなら
此処から逃げていいのなら
それだけ優しく呟いて
雨で世界が歪むから
此処では息が苦しいのです

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