虚ろ/智鶴
雨の日の多い季節が
私の息まで洗い流してしまったようで
岸辺の向こうで手を振る影は
何処か切なそうに見えるのです
まるで昨夜の夢みたいに
幸せだった幻みたいに
頭痛と並べた白い朝
ソファの上で息をしないまま
綺麗な水で手を洗うことを考えていた
毎日の憂鬱が泥みたいに乾いて濁るから
目を開けるのも億劫で
もう辞めてしまいたいと呟いた
外は晴れた雨で満たされているようで
掌に握りこまれていた泥を捨てて
私は腫れた目を虚ろにこじ開けた
まだ夕闇と
崩れ落ちた夢が名残惜しい
昨日からずっと
その前からずっと
産まれて来れなかった気がする
私はきっと臆病で
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