言葉に溺れていく/itukamitaniji
 
言葉に溺れていく

「また言葉に逃げるんだな」 外見の身体がつぶやいた
中身の心は隅っこに 隠れて聴こえていないふりをしている
君は今でも 過去を真空パックすることに夢中でいる
少しの汚れも入らないように なるべくきれいに清純にと

自称詩人のあの人も いつかは現実の世界に帰って行った
なんだよつまんねぇな ずっと仲間だと思っていたのに

閉じた扉の向こうから 言葉が言葉が溢れてくる
もういいよたくさんだ 背中で必死に扉を押し留めようとする
これは本当に僕の言葉なのか 信じたくないほど汚らしい
とめどなく溢れてくる ずぶずぶと言葉に溺れていく


「また言葉に逃げる
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