指輪/ケルリ
 
彼女はときどき
始まりの海を思い出して
自分の手足をしげしげと見つめる

かつてはヒレだった器官を
もう水かきもない指先を
指輪をはめた指を

海の底にやすんでいた
はるかな祖先があえて
陸地を求めたように

彼女もまた
安住の地を捨てて
つながりを求めた



今日は何度目かの結婚記念日。



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