枯れ草/ハァモニィベル
 
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枯れ草に香水を垂らし
毒を取り去った美女の白い手
いま、土を染めた雪の
冷たい抱擁がそう見える。

ミルクを朝がきれいに嘗め
吹雪の中で夜を過ごした君の黒髪
あの、頬を撫でた息の
柔らかい寂しさが跳ねる。


禍(わざわい)ばかりを相続する奴がいる。
傷口は、いつも癒えるのが待てず裂けてしまう。
少年の頃には泣けたから良かった。
誰も居ないところで癒える筈もないのに。

黒の子猫を一匹、胸に抱え、ピエロの格好で
踊る友がいる。
そいつに黄色のハンモックを贈りたい。
多分それで、
眠る時間など、きっと、ないだろうが。
だからこそ、贈りたい。






(ハァモニィベル/2016/03/11 20:48 )
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