GATE-B2(ゴル投稿長考版)/高橋良幸
 
発され
鼻水とともにくるんで捨ててしまった

新千歳の一面の窓とその向こうにある接続先の無い廊下
機材という呼び名にいまだ慣れないまま
その繰り方の結末を待って搭乗口を睨んでいる
通過のタイミングが制限されることは音楽にも似ている
ヘッドホンの奥でプレイリストが一番先頭に戻って
リズムマシンが規則的に〔Hi-hat〕を刻んでいた

少し上手に君を揶揄できたとして
欠航の可能性を十二分に予告されるシステムを当然に思ってしまう風潮に
通り抜けていくこれからのあいだのことについて
俺もつい釈明の先手を打ちそうになる
けれど名前は標識に過ぎないのだったら
〔ゲート〕はくぐり抜けた後に無名ともなるはずだ
間違っていてもそれを確認したあとで許してもらえばいいだけじゃないのか
俺は

今日も〔そこ〕を名付けて通過する
通り抜けた〔場所〕はもう目の中にない
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