仮面/葉leaf
人々もまた敵意の仮面をかぶっていた。
だが、この仮面ももろいもので、しばらく風雨を浴びているうちに少しずつはがれていった。人間不信の仮面がほとんど剥がれ落ちたとき、人々もまた敵意の仮面を外し去っていた。私たちは再び素顔の表情でお互いを映し合える。仮面同士の浅い理解ではなく、素顔同士の微細で深い共感や共鳴でもってお互いを察し合えるのである。
私は他人の敵意の仮面におびえ続けていた。そこにあるのは見知らぬ人間の仮面だった。だが仮面を外してしまえば見知った同士、霧が晴れたようなさわやかさで私もまた素顔で人と映し合える。私と他人を覆う仮面が崩れたとき、世界を覆う霧は見事に晴れ上がったのだった。
戻る 編 削 Point(2)