百分率/高橋良幸
 
った。私は観覧者気分でその幕の内側をひとり歩いていった。
すぐに雑木林のはずれまで来た。ここからは連続した日なたと日かげが不連続に続いていく。いずれ芽吹いていない木々は芽ぶき、日かげは短くなり、太陽を仰ぎみる季節が来て、終わる。けれどもストーリーの本筋がその季節の営みに無いことは明明白白で、できれば今日のうちにリールの残りの巻き数を計算しておいたほうが良いのかも知れない。あっという間に席を立つ、あの映画館での気分をまた味わいたくはないからだ。
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