夕暮れ/いねむり猫
 
古い座り机に ひじをついて
小さな窓から 夕暮れの街を見ていた

私を呼ぶ かすかな声に 振り向くと
薄暗い階段の踊り場に
立ち去ろうとする 小さな姿

それは
幼い我が子の 最後の姿だと 
判った

いつも家族に背を向けて 座っていた私に
全身でぶつかるように慕っていた

一瞬の夕暮れの 折り重なる連鎖
止まった時間の中で ただ座っている私


すっかり暮れてしまった小さな町に 
星が降り立つように 街灯が瞬く

灯の下には 一人遊びの子供
母親の 帰って来る方角に 顔を向けながら
小さなため息を 投げてみる
 
街の灯は 
子供の背を 
淡いみかんの色に染めて 
いつまでも 包んでいる


すでに 長い時間が 過ぎた

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