東風/藤原絵理子
暁のうたたね 夢の中で泣いて
白くぼんやりした夜明けの部屋に
ムウドだけが薄く残っている
メランコリックな仕草で 髪をかきあげる
オルゴオルの上で踊る 白鳥が優雅に
ころんころんと輪を描いて 輝く瞳で
幼い少女が見つめている 透明な額で
世界は 綺麗なものと楽しいことで溢れた
遠い夢は回って 踊って
過ぎ去った日々の彼方に ほのかに
漂い薄らいでいく 白い梅の香りが
融け残る雪は
玉水を結んで 陽に煌いてリズムを刻む
軒下の石を穿って 永遠を願って
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