冬の旅人/ダーザイン
 
しんしん降りつむ雪を
 車の上から払い落とし
 ほっと一息つくと
 フロントガラスの内側に
 深い海の底のように広がる静寂

 放心と痛みを結露させる曇りガラス

そのようにして
消えていった風景

約束の花束は
宙空で凍てつき
微塵となって消えていった

吹き過ぎて行く雪片 そしてまた雪片

空の割れ間から
神さまたちは退場し
さえざえと
冷たい光が語り始める

いまだ かつて すでに
あらかじめと
空しい言葉を

それでもやはり
暗い夜道をしばし歩き
一瞬振り返ると
あの明るみが
立ちづさんでいるのです
孤独な姿で
闇の中に

一歩 歩みでて
明るみの中から歩みでて
少年の肩を照らす星の光

140億光年の星座の下
厳冬の季節をめぐる
冬の旅人

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