きみに寄せる詩群/山中 烏流
の傍に居て
手を繋げば
飛び去る魚だって見えた、空
たくさんのものがわたしを蝕むから
ここではない何処かへ行きたかった
何一つ満足にいかないから
わたしだけのものが欲しかった
たった一人の友達は
わたしの目と耳を塞いで
そうして、
短い夢を見させた
*
あの魚はもういない
夕日に飛び込むことはできないし
ベッドじゃ月まで飛べない
家族は海藻にならなかったし
エウロパは遠い
(きっとわたしは死んでしまうだろう
幸せは心を鈍らせる、と誰かが言っていたように
目も耳も塞がない手が
今は繋がれているのだから
そのうちに
死んでいくのだろう)
きみが頭を撫でている
わたしは長い
長い、夢を見る
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