車窓/
いねむり猫
通勤電車の厚い窓に
朝の光が 何層にも折りたたまれている
世界を遮断して
許されたものだけが 透過してくる
見渡す景色が 放射状の光の道たちに
遠く近く切り分けられて
本当の姿を現しては 固定される
金色の砂をふりまかれた
大きな車窓に
周囲の音も
拭われたように 鎮まる
つり革にぶら下がる私は
黄金の聖歌を浴びながら
祈るように目を閉じる
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