微笑み姫/たけし
 
を振りながら 上のフロアに消えていく


僕は 〈いいないいなあの余裕 いいないいなあの微笑み〉
思わず途中から歌にしながら玄関口まで出た
昨日の転倒ですっかり腫れ上がった右肘を 駅前の外科に診てもらわなければならない

♪いいないいな あの余裕
いいないいな あの微笑み

相変わらず小声で歌いながら 街道添いの遊歩道に渡り 改めて空を見上げた

見事な蒼穹がヒンヤリと広がっている

♪いいないいな あの微笑み
いいないいな あの深い青

今度あの子に階段で会ったらこの歌を聴いてもらおうか 
調子に乗ってそんなことを考えながら
僕は未だ凍結した雪が残っている道を ゆっくりと進んで行った

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