にゃあ/智鶴
何処に行ったのかしら
私の膝と、温かさに溢れる秘密
高い背中を見ていたら
今日もいつの間にか夕暮れ
琥珀のグラスを傾けて
少し煙を燻らせて
その指、滴、氷の音
眠る私の華を誘う
ほんの一舐め下さいな
煙の端でも下さいな
貴方の傍らに枕を下さいな
雨の日ばかりじゃ息も出来ない
たまには私の傍に来て
夢や現の白々しさを忘れて眠りましょうよ
レモンの帽子を取り上げて
少し齧って灰皿に
昨日の眩暈と錆びた釘
薄緑色の雪が降る
指だけ私に掴ませて
あとはお好きに遊ばせて
朱い色した背高は
今日も貴方を何処かへ連れて行く
ほんの一撫で下さいな
貴方
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