早春の川/もっぷ
 
家もない、
名前もない女の子になってみたい
食欲の束縛から解放されて
たとえば風になりたいと
だけど記憶は手放したくない
良いことばかりじゃないのは他人とおなじ
そしてわたしだって
ぽかぽかとしてくる素敵を
まだ、確かに握ってる
春を待つ日日に
たった一人じゃなかったことがあって
それは言葉にはならない
生涯の大切だ
早春の川がきらきらと営んでる
何かを思い出しているみたい
きっと去年の春の
自分のほとりに
いったいどんなぽかぽかが
たくさんあったのか
夢みるように想っては
やがて明日へまたきらきらと


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