俺のゴール/いねむり猫
世界を締め出して
かすかに囁く予感に 集中する
繰り返し 自分の正気を痛めつけながら 時間を飛ぶ
自分だけが熱くこげる
それでも行き着くことができないゴール
ギャンブルの底の底で おれはまだ焦っている
焼けこげるエンジンの轟音は
地の底で 生皮をはがれる悪魔の悲鳴
競艇場の薄汚いトイレで
おれはまだ 何かと競っている
頭の中のどこかが むず痒い
鼻の奥の奥で 不快なものが焼ける匂いがする
指が細かく震える
体は なえて 背骨だけで移動する
転がり落ちながら 前に這う
ゴール前の歓声の向こうに
垂直に口を開けている あのなじみ深い
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