魂の無垢/いねむり猫
灼熱の 一日の重さで うなだれていた 木々の枝が
夕暮れの風を受けて 身震いする
心地良い木陰が 濃い闇へと変わる わずかな隙間に
見え隠れする 幼子の姿
夕闇の ここ から夜が始まる
木陰からふと空を仰げば 夕暮れの中に 嵐の予感
雨雲と一緒に迫る夜と まだ鮮やかな夕焼け
天空と大地の間に輝く
黄金の傷口から 飛び出そうとしているのは
闇と光を自在に行き来する 魂の無垢
太陽の法に縛られた 光による祝福が
夜の予感に 揺らめく
背中に折り重なる夕闇の重さ
腹に力を入れなければ 闇が背骨に忍び込む
かすめる恐怖と
闇に喰われ
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