煙突と月見うどん/nonya
重たいドアを押して外に出ると
階段を数段上ったところで
思わず立ち止まる
百貨店の屋上は
すっかり様変わりしていた
複雑な段差を組み合わせた
明るい色調のウッドデッキ
オリーブ色のパラソルの下には
上品な曲線を交差させた
乳白色のテーブルとチェア
たじろぎを隠しながら
休日の紳士の歩調で歩き出す
がっかりはしていなかった
むしろほんのりと昂揚すらしていた
もうこの場所には
ケチャップとマスタードにまみれた
アメリカンドッグをつまみにして
生温いビールを飲みながら
買ったばかりの文庫本の紙カバーに
不機嫌な顔で気障な言葉を書き殴る
そんな勘
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