ポケットの中の小人/世江
従順な君は
誰からの意思にも起動して
私へ それを知らせてくれる
その度私が 君を覗き
要不要を見極めて
合図を送るのが
どれだけ面倒なことか
君には分からない
はいはい そうです
のち
定型文…
大抵の意思はこんな感じで振り切れる
でも たとえばそれが
望まない相手だろうと
それに気付かない君は
そいつの意思を伝えようと一生懸命に震える
はいはい え?
そうですか
だから?
雲行きが怪しい
これは 間もなく 落雷の予感
沈黙のあと 小さなため息
前にある何かを睨みつけて
こちらの意思で執拗に殴る
そうすれば
君も気付くだろうか
理不尽な怒りだけが身を焦がして
ぶつけることの出来ないそれさえ
どこか 満足の一部となるから私は厄介だ
戻る 編 削 Point(0)