かなしみのかわりに雨が降っている/伊藤 大樹
 

別れがふたりの街に雨を降らしても
思い出は亡霊となってそこに立ち止まる
そのため傘は濡れ続ける
雨はいちばん永遠に近づいてゆき
あなたはいちばん永遠から遠ざかる
そのためかなしみは旧くなることがない
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