逆さまに落ちる人/yamadahifumi
 
から
人々にとって世界が生きる場所であるなら
私にとってそれは苦痛を受ける場所
そしてその苦痛から何が生まれてくるか
私自身知る由もない
この詩を読む人間が世界にこの私一人しかないとしても
私は私が誰よりも客観的な基準を握っている事を知っている
そう、私はあくまでも私の主観的な基準の中で
自分が世界と同一だという事を知っているのだ
だから、人々は……いや、もう人々の話はよそう
とにかく私は今ここに生きており、だから私は
今生きている自分を越えようとしている
だから、私は私の悲劇を見る事ができる
船首から逆さまに落ちる船人のように
世界が私の逆目に綺麗に映るのであれば それはやはり
この世界が元から逆だったという事の証明になるだろう
そしてその時、君の目は
何故か、閉じていた
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