逆さまに落ちる人/yamadahifumi
透明な渦が引かれ
その中に世界は吸い込まれていく
「私」の名もいつしか透明となっており
人々の眼窩の中にそれはない
…今を生きているという実感が
この私を生かしているのだろうか?
死を肯定するという事もやはり
生の実存の一つに過ぎない
「私」の為にあらゆる他人を使役し
この世界のすべての人間を私という王の為の奴隷にしたって
そんなゲームにもいつか飽きがくる
もし人生が無限に続き、我々が無限の富に恵まれたとしてもやがて我々は
その事それ自体を否定したくなるだろう
人間は世界の外側を考える事はできない
なぜなら、世界と呼ばれる存在そのものが私達自身の存在とイコールなのだから
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