玉川上水/高橋良幸
年の暮れにすっかり見通しのよくなった玉川上水を歩く
日差しというのは本当にこんなものだったろうか
木陰を求めなくなった皮膚が季節を飛び越え
あるいは目の前の季節以外を忘れてしまったみたいだ
足の甲まで重なった落ち葉は確かに一年分の営みの結果なのだろう
多摩から江戸まで歩いて1日以上かかる道のりで
上水はずいぶん深く掘られている
今は都心まで行けずに三鷹の少し奥で途切れているが
端から端まで歩けば忠告の石碑が置かれ
記念の松が植えられ、武蔵野市では手入れが滞り
どのように江戸から東京まで続いてきたかがわかる
先を行く子供がいる
後を歩く老人もいる
落ち葉を蹴り上げて進め
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